図書出版

花乱社

『北九州・京築・田川の城:戦国史を歩く』中村修身著

■本体1800円+税/四六判/176頁/並製
■ISBN978-4-905327-59-2 C0021
■書評:「日本経済新聞」九州・山口・沖縄版2016.10.29 /「毎日新聞」福岡版2016.8.30 北九州版8.24/「西日本新聞」8.14

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縄張り図が読めると戦国史がもっと面白い。
旧豊前国の範囲を中心に主要な城を紹介しつつ,戦国史の面白さへと導く,かつてない歴史探訪の書。文書資料を駆使した解説に加え,最新の縄張り図を掲載,その読み方まで提示する。
半世紀に及ぶ調査・研究に基づいてこそ成った斬新な登城案内。



【目次】
■城めぐり 
 歴史と城/城の各施設の名称/城とは/城探訪に際しての注意
園田城と園田浦城:北九州で一番古い城か
多良倉城と鷹見岳城:武家方の城
猿喰城:九州最北端、宮方の城
帆柱城:筑前麻生氏の家城
花尾城:戦国大名の北部九州支配の軍事的要
高塔山城と浜田城:「麻生なにがし兄弟」の館と城
門司城:毛利元就、九州進攻の橋頭堡 
長野城:日本一の畝状竪堀群 
三岳城砦群:毛利氏の「長野退治」
戸畑城:在地領主小田村氏の去就
上津役要害:分裂する麻生氏
鷲岳城:大友氏の規矩郡支配の城
豊前・小倉城;豊前国の中枢へ
宮山城:秀吉軍、高橋元種軍と激突
浅川城:秀吉軍に攻撃された城
中島城:黒田藩の海軍基地
黒崎城:黒田藩の六端城の一城
馬ケ岳城:中世豊前国を象徴する城
松山城:毛利氏の巨大な向城
笠木城:境目の城
大坂城:京都郡代杉氏の築城
障子ケ岳城:大内氏支配の城
香春岳城:戦国期筑豊地方の要の城
雁股城:国人衆・野仲氏の城
伊田原陣:関白秀吉、岩石城攻めを視察
岩石城:細川藩の端城
神楽城:宇都宮氏の本拠
本庄城:黒田勢と城井氏決戦の城
緒方館:在地領主の館
内蔵寺城:円形規格の里城
香春城:細川藩の端城
東蓮寺城:元和元年以降の城
岡 城:重臣の処遇

【本文見本:花尾城】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【城めぐり】より
 歴史好きの私には、日本各地に所在している歴史遺産の探訪は楽しいものである。特に、土塁、石垣、堀切、畝状竪堀群などの遺構が残っている、城ないし館に行き着いた時の感激は大きい。標高差三〇〇〜四〇〇メートルの登山も一向に苦にならない。
 いろいろな人の教えを得、手探りで城・館探訪を重ねるにつれ、その実態が分かるようになり、いつの間にか、歴史解明の資料の一つに城・館を加えることになっていた。
 縄張り図作りや資料探しに何度も現地を訪れた。時間を要したが、確実に資料も集まってきた。これもまた楽しいものである。
 最近では、縄張り図や諸資料をもとに歴史と城・館を多くの人に伝えたい、との思いが強くなってきた。かといって、これまで探訪してきた城や館をすべて紹介するというわけにもいかないので、戦国時代の社会を凝縮させており、周防国の大内氏や豊後国の大友氏などが守護職を務めた豊前国や筑前国を中心に、国人衆や小在地領主たちが守護大名や戦国大名にどのように対処したかに焦点を当てることとした。
 ふるさと北九州、歴史探訪の出発点・京築、それに田川の城や館はそのあたりの事情を私たちに教えてくれるものと思い、戦国史を書き綴ることにした。

城の各施設の名称
 城を意味する言葉として、城、里城、砦、切寄、掻揚げ、保障、城郭などが使われ、混乱を感じている方も多いことと思う。さらに各部分の名称も分かりにくいものが多い。城や館の形と名称について理解しておくことが、現地で大いに役に立つと思う。……



【著者紹介】中村修身(なかむら・おさみ)

1946年,北九州市に生まれる。別府大学史学科卒業。現在,山口県城郭調査指導員,中津市城館調査指導員会会長,北部九州中近世城郭研究会名誉会長。北九州市在住
共著=『読む絵巻・小倉』(井筒屋),『日本の金銀山遺跡』(高志書院),共編=『福岡県の城郭―戦国城郭を行く』(銀山書房),『北九州の歴史』(郷土出版社)